第3話 天使との共闘……

アークデーモンだと……?


BどころかAランクモンスターじゃねーか!!!

こんなの学生に倒せっこないだろ!?


しかも周りにはたくさんのレッサーデーモンたち。

きっとあのボスの手下達だ。呼び出したのかもしれないな。


でもすげえな。これ天城さんがやったのか?

すぐに追いかけたはずなのに、もう10体くらい倒してないか?

しかももの凄い力で蹂躙した後にしか見えない。すっ、すごいな……。


「夢乃間くん!あそこに2人倒れてる。まだ意識があると思うから救助を!」

「わかった!」

彼女が指し示す場所に確かに2人の男子生徒が倒れている。


可愛い女の子にアークデーモンの相手を任せるのは気が引ける部分もあるけども、平凡な僕は天使の言葉に従ってまずは2人を保護し、後方に転移する。


「夢乃間くん、凄い……」

僕は君のほうが凄いと思うよ。

僕がやったのは浮遊魔法で2人を浮かせたのと、転移で後方に移動というか避難しただけだし……。


「2人をお願い!ここは私に任せて!」

僕は助けた2人を連れてその場からもう一度転移し、そこできっちり回復させる。


「こっ、ここは?」

「夢乃間君?」

「良かった。気が付いたね。さっきの集合場所にみんな集まってる。すぐに向かってくれ」


彼らは問題なさそうだったから僕は指示を伝える。


「夢乃間君はどうするんだい?」

「まだ天城さんが戦ってる。僕はここに残って支援するよ!アークデーモンが出ているんだ!」

僕は戦う決意をすでに固めている。だから走った。

天城さんは物凄く強そうだし、僕に見える魔力量的にはアークデーモンを超えていた気がするけども、相手はAランクだ。簡単に倒せる相手じゃない。


「天城さんなら大丈夫だ!君も避難を!」

走り出した僕の後ろで何か言ってるのが聞こえる。

ふざけんなよ?大丈夫なわけないだろ?

いくら強くたって絶対なんかない。生死をかけて戦うモンスターの怖さをわかっているのか?

 

お前ら助けてもらったのにそれかよ!


僕は心の中で失望し、それでも走る。



 

天城さんのところに戻って安心した。

まだ彼女は立っていた。戦っていた。


って、なんだ?近寄るだけで勝手にド根性が発動する。

この周辺だけ異様に魔力が濃い……。


通常人間にとって魔力は毒だ。

一般人は例えばDランクダンジョンのボスの魔力に1日晒されただけで死ぬくらいだ。

僕ら探索者は魔力耐性を持っているからそんなことはないが、自分を遥かに超えるランクのモンスターと相対したらやばい場合もある。


でも僕はBランク探索者だぞ?

いくらAランクモンスターのアークデーモンだとしても、魔力だけでダメージを受けるほどの力の差はないはずだ。

そう思いながらさらに近づいて、まずは天城さんに回復魔法とバフをかける。


「ヒール」

「マジックシールド」

「プロテクト」

「マジックブースト」


「えっ?夢乃間くん?どうして?」


天使が驚いてる。

やばい……可愛い……。


ってこの刺々しい魔力は天城さんが放ってるのかよ。


なるほど……。


「夢乃間くん、ここにいて、そのっ……平気なの?」

「あぁ、ちょっとぱちぱちするけど、大丈夫だ。それより倒そう!」

「うっ、うん。わかった!」

天城さんは自分の魔力で周囲を攻撃してしまうタイプなんだな。

だからみんな接近しないし、先生すら自動的に天城さんがソロになるのを止めなかったのか。


そして、この強さ……。

とんでもない個人戦闘力の代わりについてるデメリットみたいなもんなのかな?

僕はそこからまさかの天使による殺戮ショーを観覧しながらこれまでの状況を振り返る。


「セイクリッドバースト!!!」

天城さんが聖属性魔法を使うと本当に神々しいな……。

アークデーモンは呼び出したレッサーデーモンを盾にしながら耐えているが、そこに天使が殴り込む。

 

天使と悪魔の肉弾戦……。

耐えきれなくなったレッサーデーモンが次々に蹴散らされ、消えていく。

 

「ピュリファイ!」 

さらに周囲を浄化する魔法でアークデーモンたちの魔力すら払う。

 

「まだ耐えるのね」

「マジックブースト」

「マジックシールド」

「クイック」

「ヒール」

 

さすがに肉弾戦なんかやったら多少の傷も負う。

僕は支援魔法に回復魔法も入れながら天使の様子を見守るが、正直に言って僕必要なくないこれ?という思いでいっぱいだ。

 

戦闘しながらチラチラとこちらの様子を伺ってくる天使の視線があるから、『じゃ』とか言って逃げるわけにもいかない。

カッコ悪いだろ?


一応アークデーモンがおかしな動きをしないかだけは警戒しているし、天使の傷は即回復だ。


そのまま天城さんはアークデーモンを封殺した。

倒れ込むアークデーモン。



「夢乃間くん、ありがとう♡」

やめてくれ。僕は感謝されるようなことなんて何ひとつできていない。

ただ不必要な支援と回復をまき散らしていただけ。自己満足だ。

そんな可愛い顔でお礼を言われるようなことやってないよ……。

 

しかもド根性でなんとか耐えてるけど、そろそろ限界だったからアークデーモンが大人しく死んでくれて助かったまである。

いや、そろそろ本気でやばい……。

天城さんが僕の様子を気遣ってくれているが、僕は彼女の魔力でダウン寸前。


そのまま意識を失いそうになって、前のめりになるのを必死でこらえようと足を踏み出す。


「えっ?」

当然ながらそのポジションは天城さんをまるで抱きかかえにいくようになってしまった。

そこで視界に入ったのは……あれ?なんでアークデーモンが消えずにまだ転がってるんだ?


しかもこっちを睨んで……まずい……



「マジックブースト……マジックシールド」


なんとか魔法を唱えた僕だったが、凄まじい爆音と衝撃に飲み込まれた。





消えゆく意識の中で『夢乃間くん!!!!?』と叫ぶ天使の声が鳴り響いた……。




***あとがき***

お読みいただきありがとうございます!

果たして燈真は無事なのか?そして咲良は?

次話をご期待ください!


そして、より多くの方に読んでいただくため、フォローや☆評価(☆☆☆→★★★)を頂けると嬉しいです。作者も舞い上がります。

応援(♡)やコメントもお待ちしております。

どうかよろしくお願いいたします!

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