10 饗宴
フレイヤにレイヤを預けたヨルムは、オーディンとロキを探していた。それから友人である光の神も。しかし、目立つはずの神々を、誰一人として探し出せずにいた。
騒ぎが起きていないところを見ると、ロキは今日は来ていないのかもしれない。ロキは、いつも悪さをしては神々の不興を買っているのだ。不和が起きていないのは、あのうるさい神がいない証拠だろう。
ヴァルハラの主であるオーディンは、いつも妻のフリッグと共に高座に座っている。しかし、今日の高座には妻のフリッグしか居ない。痴れ者の神ならば、別の姿をとってその辺に居る可能性もあるが、そうなると探すのが面倒だ。
それに、いつも饗宴に参加しているはずの友人も探せない。ヴァルハラの輝く光の神は、一番眩く光る方角を見れば簡単に見つかるはずなのだが。今日はその光を見ることもなければ、その神を囲んだ悪趣味な遊びが行われている様子もない。
おかしい。違和感だらけしかない饗宴の中で、ヨルムはようやく信頼のおける神を見つけた。
「テュール」
天空を司る戦と裁定の神・テュールは、古い神の中で、ヨルムが慕う数少ない神である。
「ヨルムか。久しいな。饗宴に来たのはどれぐらいぶりだ?」
「そんな古いことなど覚えているわけがないだろう。フェンリルの様子はどうだ?」
「相変わらずだ。繋がれていても元気にしている」
フェンリルは狼の姿をしたヨルムの兄だ。
ヨルム同様、巨大化したフェンリルは、その本体を絶対に引きちぎることの出来ない縄で縛られている。それは、神々の饗宴で勝手に決められたことだった。その理由も酷いもので、フェンリルは神々の国で暮らすには大き過ぎるから、というものだ。
もちろん、フェンリルは決まりに従って喜んで縛られたわけではない。神々に騙されたのだ。
ちょっと縛られてみろ、すぐに放してやるからという誘いに乗った兄も悪いのだが。フェンリルが懐いていたテュールが、約束の保証として大事な右腕を口の中に差し出した為、フェンリルは断れなかったのだ。フェンリルは神々によって捕縛され、神々はすぐに開放するという約束を違えた。フェンリルは逃げようとしたが、神々がフェンリルの捕縛の為に作った縄は非常に丈夫で、フェンリルが逃げ出すことは出来なかった。
そして、テュールは約束に従い、フェンリルにその神性の象徴でもあった右腕を食わせ、神々の調停者の名を失うことになった。
本当に誰も得をしない酷い出来事だった。神々の饗宴で下される決定にろくなことはない。
「化身の方は、ヨルムの土地にも遊びに行っているのだろう」
ヨルムは、フェンリルの化身や眷属がヨルムの土地に入ることを許している。自由で奔放な兄のことは嫌いではない。しかし、人は狼を怖がるのだ。
「遊びなんて可愛いものじゃないぞ。暴れまわっては作物を荒らし、人間に恐怖を与えて回っている。森に自生する木の実でも漁っていれば良いものを。テュールが良い食い物を与え過ぎるからこうなったんだ」
テュールはフェンリルを悪者だとは思えなかったが、裁定の神である以上、神々の饗宴で決められたことに従うしかなかった。その罪滅ぼしとして、友人として。テュールは未だにフェンリルの様子を見に行っては食事を与えている。片腕を失ったとしても、この神は哀れなフェンリルに対して誠実だった。
「それは悪かった。次から魚でも与えることにしよう」
「意外だな。フェンリルは魚も食べるのか」
「さて、どうだろう。今度、聞いてみなければなるまい」
テュールが笑う。古い付き合いの神でも、フェンリルが魚を食べるかどうかは知らないらしい。
ともかく、兄が元気にしているのは何よりだ。フェンリルの本体が捕縛されている場所はヨルムの土地からは遠く、ヨルムは簡単に会いに行くことが出来ない。その為、ヨルムは饗宴に来た時は必ず、テュールから兄の様子を聞くことにしていた。
嘘吐きばかりのヴァルハラの神々をヨルムは信頼していないが、公正なテュールならば、ヨルムの疑問や質問に正しく答えてくれることをヨルムは知っていた。
「ところで、バルドルはどこだ。あいつが、この宴に参加しないことなどないだろう」
テュールが顔を曇らせる。何かあったようだ。
「少し静かなところで話すとしよう」
テュールに連れられて、ヨルムは広間からテラスに出た。
そこでは、トールが夜風に当たっている。
「トール。こんなところで何をしている。もう酔っぱらったのか?」
「ヨルムとテュールか。俺は酔っぱらっちゃいねーよ。なんか、いつもの連中が居ないとつまらなくてな」
確かに、今日の宴は喧しさに欠ける。
「ロキのことか?」
「あぁ。あいつとは、あちこち旅をした仲だからな。なんでこうなっちまったのかな……」
トールがため息を吐く。
「トール。ヨルムは何も知らないんだ。お前の嘆きは伝わらないぞ」
「何も知らないだって?だって、あいつはヨルムの土地に繋がれたんだろ?」
「何の話だ?」
ヨルムの言葉に、トールが大げさに驚く。
「おい、本当に、誰も何も教えてやらなかったって言うのか?」
「だから、何の話かと聞いている」
「くそう。多数決なんて横暴だ。ヨルムは毎回、饗宴に参加するべきだったんだ。頭の良いお前が説得すりゃあ、こんなことにはならなかったかもしれないんだぞ。もしくは、その体でヴァルハラを潰してやるって脅してやれば良かったんだ。くそっ。くそっ!」
トールが地面を殴るたびに、ヴァルハラが揺れる。相変わらず、子供のように感情を制御できない神だ。
「やめろ、トール。立っていられない」
「そうだ。皆が何事かと騒ぎ立てるぞ」
トールは手を止め、今度は大声で泣きだしてしまった。
「やかましい。この酔っぱらいはなんだ。テュール、ここは静かな場所でも何でもないぞ。別の場所に行くとしよう」
「だが、向こうで話すよりはましだ。良いか、聞け。バルドルは死んだ」
「は?」
理解できずに、ヨルムは固まる。
「何を言ってるんだ。バルドルを傷つけることができるものなど、この世に存在しない」
光の神・バルドルは、オーディンとフリッグの息子だ。神々の中で最も美しいと称される神をいたく愛した母のフリッグは、何者もバルドルを傷つけないよう、世界のすべての生物と無生物に約束させたのだ。
そのせいで、この饗宴ではバルドルに物を投げつけるという悪趣味極まりない遊びが行われていた。剣であろうと、槍であろうと、何を投げてもバルドルは傷つかないのだ。すべてのものを受け入れ、嫌なことを嫌だと言わない優し過ぎるバルドルに変わって、ヨルムは良くその行為を止めていた。そのせいで、余計にヨルムは神々から疎まれていたのだが。
「お前の言う通りだったんだよ。あんな遊びは止めときゃ良かったんだ」
「まさか、バルドルを傷つけるものが存在したのか?」
「そうなんだよ」
「フリッグは、生まれたばかりのヤドリギとは約束を交わさなかったらしいのだ」
「ヤドリギ?そんなもので神を傷つけられるものか」
「でも、出来たんだよ。ヘズがヤドリギを投げてバルドルを殺した」
盲目の神・ヘズ。オーディンとフリッグの息子で、バルドルの弟だ。この神は視力を失った代わりに鋭敏な聴覚と、第六感を持つ神である。
「盲目で、あの遊びに参加したこともないヘズが、どうやってそんなことを成しえるんだ」
「ロキの奴がたぶらかしたらしい。あいつは何故か、ヤドリギの話を知っていた」
「どうせ、フリッグを騙して聞いたんだろうよ」
「そうかもしれないな。ともかく、ロキから受け取ったヤドリギを、ヘズはロキの言う通りに投げつけたんだ。そして、それはバルドルの命を奪った」
「あいつも俺と同じで、盲目でなけりゃあ、戦場で活躍していたはずの神だからな」
オーディンの血を引く神であれば、戦神としての素質も高かったに違いない。しかし、残念ながらその力は、戦場の敵ではなく、唯一の兄に向かって発揮されてしまった。
「バルドルの死を悼んだナンナも、バルドルの後を追うように倒れ果てた。そして、バルドルを殺したヘズも、その場で処刑されたのだ」
「なんてことを……」
ここまで酷い負の連鎖があるだろうか。ヨルムはため息を吐く。
光の神・バルドルは、約束を守り、契約を順守する神だった。まだ若く、過保護な母親のせいで世界を知らないものの、嘘と欺瞞に満ちた神々の中において、バルドルは最も潔白な神に違いなかった。フリッグが約束を取りつけたとはいえ、誰もバルドルを傷つけなかったのは、その神性に依るものに違いない。
誰からも愛されていた光の神・バルドルこそが、神々の世界を新しいものへと変えてくれるだろうとヨルムは期待していた。それなのに、何故、バルドルが死ななければならなかったのか。
「待て。バルドルは死者の国へ行ったんだな?それならば、私がヘルに交渉してこよう。ヘルならバルドルを復活させることが出来る」
死者の女王・ヘルは、ヨルムの妹だ。
最も、ヘルは好きで死者の女王になったのではない。オーディンはヨルムを地上に捨てたように、ヘルを生きたまま死者の国に流したのだ。そして、死者の国の女王となるよう告げ、ヘルがこちらに戻って来られないようにしたのだ。
しかし、死者たちを統べるヘルは、死者を元の世界に復活させることも出来た。
「んなことは、もうやったんだよ」
「なら、何故、バルドルの姿がないんだ」
「失敗したからだ。ヘルは、約束の期限までに世界中のものがバルドルの為に涙すればバルドルを返すと約束した。最も、神々はバルドルの為に十分に涙を流したから、数に加えないでやると言った。条件を飲んだフリッグは強引な手を使って、バルドルを傷つけないよう約束させたものたちとヤドリギに涙を流すよう指示した。この日は、お前の土地の人間たちも涙したはずだ。けれど、一人だけ涙を流さない者がいた」
「一人?人間か?」
「そうだ。フリッグが説得に当たったが、約束の期限が過ぎて、ヘルはバルドルはもう返さないと宣言した。これでもう、バルドルが帰ってくることはなくなったんだ」
「一体誰だ?その人間というのは」
「ロキの奴に決まってるだろ」
「ロキ?あいつは神だぞ」
「だから、泣かなかった人間ってのが、ロキが化けた婆だったんだよ」
「それならば、すべてのものが涙したも同じことだ」
「しかし、約束の期限までに誰もロキだと見抜くことが出来なかったのだ。私たちは、一人だけ涙を流さない人間が居たことを認めてしまった」
「そのせいで、バルドルは帰ってこない。全部、あいつの罠だったんだ」
罠。これは、不幸な偶然が重なったわけではなく、すべてロキの奸計だったというのか。
「何故、私を頼らなかった」
テュールが黙る。代わりに、トールが答えた。
「俺は言ったぜ。ヘルもヨルムの言うことなら聞くだろうって。お前はバルドルを気に入ってたし、喜んで助けてくれただろうって。でも、ここの連中が、お前を頼ろうと思うもんか。何も悪いことをしてないフェンリルを、怖いからって理由だけで縛っちまうような連中だぞ」
確かに、神々はロキと、ロキの子供を怖がっている。元々神ではないロキと、その本体が人の姿ではないフェンリルとヨルム、そして、その半身が青白いヘルを。神でも人でもないものとして蔑んでいた。
「大事な息子は自分で取り戻すって、フリッグも喚いていたからな。取り戻せなかったのはフリッグの自業自得だ。うちの神じゃ誰もロキに勝てなかったんだ。あぁ、ヨルムがあの場に居たらロキの変身も見破ったかもしれないのにな。あいつは本当に頭の良い奴だよ。お前の親だけある。なんでバルドルを殺したのかわからないが」
それは、ヨルムにもわからないことだった。
ロキがバルドルを憎んでいたとは思えない。義兄弟であるオーディンの息子となれば、ロキにとっては甥に当たる。駄目な神だが、ロキは家族を大事にする神なのだ。現に、ロキはトールと仲が良い。二人はしょっちゅう一緒に旅に出る仲だった。トールがミョルニルを失くした時だって、連れだって取り返すのを手伝っている。
「ヨルム。この話には、まだ続きがある。ヘルとの取引に失敗した次の饗宴のことだ」
思わず、ヨルムは失笑した。
「林檎を齧ることがそんなに大切か。バルドルが二度と戻らないというのに、悲しみにくれる神を私は一人も見ていないぞ」
「お前のように信仰のみで生きられる神ばかりではないのだ」
「怠惰の結果を別のものに擦り付けるな」
「しかし、平和な世とあっては戦神の出番が少ないのも事実だ」
「何を言う。自らの神性を保つ為、オーディンは東の地で戦争を引き起こして回っているじゃないか。その上、ヘルの下へ行くはずの死者までヴァルキュリア達にかすめ取らせている。知らないと思っているのか」
「戦争で勇敢に死んだ兵士はヴァルハラで召し抱えて良いはずだ」
「その数がおかしいと言っている。英雄と称えられる人間ならいざ知らず、戦争に従事した者を片っ端から連れ去っているだろう」
「オーディンには戦いに備える責務がある。いずれ、必要になる戦士なのだ」
「戦いに備える?何の戦いに備えると言うんだ。神が居れば、死者の戦士など必要ない。哀れな死者を早く解放し、安らかな死を与えてやれ。そもそも、オーディンは英雄たちを称える為に招くと言っていたのだぞ。それが、今は違うことを言うのか。元々あった約束を次々と破り捨て、自分たちに都合の良い決まり事を勝手に増やし、何が神だ。だいたい、オーディンは……」
「落ち着け、ヨルム」
トールがヨルムをなだめる。
「人の世界の移ろいについていくのは大変だって、お前だって言ってただろ。信仰なんて、いつ失うかわかんないんだぜ」
今は死者の分配について文句を言っていたのだが。話についていけていないトールに呑気に言われ、ヨルムは息を吐いた。
トールの言う通り、少し熱くなりすぎていたようだ。
「すまない、テュール。言い過ぎた」
「気にすることはない。神々が怠惰なのはお前の言う通りなのだから」
「続きを話してくれ。その饗宴で何があったんだ?」
「ロキが暴言の限りを尽くしたんだ」
「そんなの、いつものことだろう」
「高位にある神々の秘密を次々とばらし、神々の不興を買ったのだ」
「俺の親父とも罵り合いをしていたらしいぜ」
「それだって、いつものことだろう」
二人とも知恵者であれば、議論や口喧嘩もしょっちゅうだ。それに、オーディンとロキは昔からの付き合いなのだから、お互いの悪いところも十分に知っている。秘密のばらしあいなら、お互い様だろう。最も、ロキは自分の悪いところを微塵も隠していないようだが。
「フリッグやスカジの浮気話とか、フレイヤの奴が兄貴と寝てるところを見たとか、べらべら喋ってたって話だ。俺もその場に居たかったぜ。全部、図星だって話だからな」
トールは、その場に居なかったらしい。
「ここの神が契約を順守しないことなど、今に始まったことじゃないだろう」
「お前にとってはその程度の認識だろうが、古い秘密をばらされるのは気持ちの良いものではない。トールの帰還に合わせ、その場に居た神の賛成多数でロキに罰を与えることが決まったんだ」
「また、勝手な取り決めをしたというわけか」
「しかし、ロキはその場でヘズにバルドルを殺させたのが自分だと言ったのだ。それまでは、誰も真相を知らなかった。その罪に対する罰だ」
「神々の罪を暴露した上に、自分の罪も告白したのか」
「そうだ」
そして、他の神々の罪には目を瞑り、ロキだけが裁かれたらしい。最も、バルドルを間接的に殺した罪は重い。ヨルムがその場に居たとしても、ロキをかばってなどやらなかっただろう。
「決まった後、ロキは宮殿から逃げ出したんだ。俺は逃げるロキを追いかけて、とっ捕まえてやった。でも、俺の仕事はここまでだ。その後、他の神々がロキをお前の土地に繋いだって聞いたが」
「私は聞いても居ないし、許可も出していない。何故、私の土地に埋めることになったんだ」
「誰も自分の土地にロキを埋めたがらなかったからに決まってるだろ。俺は、他の連中のとこに行くよりは、お前のとこで良かったと思ったんだが。スカジの奴がなぁ」
山の女神・スカジ。ヨルムもたまに世話になる快活で明るい女神だ。
「スカジは、岩に繋がれて身動きのとれないロキの顔の上に毒蛇を置いたのだ。余程の私怨があったのだろう。ロキは蛇から滴る毒を顔に浴びるという責め苦を受けている」
「自業自得だ」
今まで好き放題やっていたのだから。
「冷たい奴だな。その毒のせいで、あいつは相当悶え苦しんでるんだぜ。お前だって、土地が揺れて迷惑してるだろう」
これで、ようやくすべてが繋がった。
春の祭典の五日目から起こった地震は、ロキが引き起こしていたのだ。原因は特定されたが、他にも聞いておかなければならないことが出来た。
「それで、誰が私の土地である西の海にクラーケンを放ったんだ」
その言葉に、テュールもトールも黙った。
それが答えだ。
これもまた、神々の饗宴で勝手に決まったことに違いなかった。
ロキの捕縛はヨルムが知らない間に行われた。神々は、ヨルムの許可を得ずに、勝手にヨルムの土地にロキを埋めようと考えたのだ。それには、ヨルムが邪魔だったのだろう。ヨルムが西の怪物にかかりきりになるよう仕向けると、更にヨルムの人の姿を奪った。ヨルムは戦いの中で人の姿を失ったが、それが神々の意思によって故意に行われたのは間違いない。そうでなければ、百年も馴染んだ人の姿を、怪物一匹ごときとの戦闘で失うはずがなかった。
人の姿を失ったヨルムは、ロキの捕縛について今まで知る方法がなかった。それを知ったロキは、黒い蛇を使って国に予言を与え、早々にヨルムが人の姿を取り戻すよう仕向けたというわけだ。
「他に話すことはないか」
「悪かった。ヨルム」
トールが頭を下げて謝る。
「お前を責めるつもりはない。だが、オーディンは許さない。あいつは今、どこにいる」
トールが首を振る。
「誰も知らないんだ」
「ロキを捕らえてからは、ほとんどヴァルハラに居ない」
オーディンが何か良くないことを考えているのは明らかだ。
「ヨルム。私から頼めた義理ではないが、ロキのところにシギュンを連れていってやってくれないか」
「シギュン?誰だ?」
「ロキの妻だ。戯れに娶ったようだが、シギュンの方は夫と共に居ることを願っている。しかし、オーディンが居ないのに、私たちが勝手に連れていくことは出来ない」
罪人との面会には、オーディンの許可が必要だ。しかし、もともとヨルムの土地であれば、ヨルムがどこへ行こうと自由だろう。そもそも、ヨルムは自分の土地を罪人の牢獄として使う許可など出していない。
「シギュンは、ロキの場所がわかるのか?」
「もちろんだ」
「ならば、連れていってやろう。私もロキと話したいことがある」
聞きたいことは一通り聞けた。
「真実を聞かせてくれたことに礼を言う」
ヨルムはそう言って、テラスを出た。
話が長くなってしまった。フレイヤはレイヤを大事に扱っているだろうか。
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