第64話

―と、


目の前にある

桜の木の下に


何か瓶のようなものが

尻を出していた。


その木は他の木に

比べて少し右に傾いていて、


初めて僕らが

出逢った時に

僕が寄りかかっていた木だった。



ゆっくりと

近づいて行き、


覗き込む。


なにか

入っているようだった。



僕がそれを

掘り返していると、


加奈が不思議そうに

近寄ってきて

隣にしゃがみ込んだ。


中には四つに

折りたたまれた

便せんが二枚入っていた。


いつかアカネと

二人でみた


タイムカプセルを思い出した。




ゆっくりと

一枚を開いてみる。




「あ」


と加奈が声を漏らした。

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