第60話
「あなたがいなかったら
…アカネは…」
ついにしゃがみ込み、
声を荒げて
泣きだした加奈を、
僕はただ立ちすくんで
見つめたいた。
視界がぼやけていく。
雪で冷え切った顔に、
一筋の温かい温度が
頬を伝い、
ぽたりと
足元の雪を溶かした。
「でも…
俺は…
……生きてる」
「…え?」
「なんで…
俺だけ……
生き残ってんだよ…」
僕を見る鋭い加奈の目は
真っ赤に充血していた。
「……ばかじゃないの
…この二年間
そんな事考えてたの…?」
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