第50話
「何言ってるの、
あなたのせいだなんて
誰も思ってないわ。
あなたのせいじゃない。
私がちゃんと
見てやらなかったから…」
母親は俯きながら
ショードボブに
切り揃えられた髪を
耳にかけた。
すると、片方だけに
つけられたピアスが
キラリと光る。
アカネがずっと付けていた
ピアスだった。
僕はポケットから
もう片方のピアスを取り出し、
母親に手渡した。
「あなたが
持っていてください」
「これ…、
てっきりなくなったんだと」
「まさか。
ずっと大事そうに
つけていましたから」
母親はそれを
受け取りながら、
目に透明な膜を
張らせていた。
足元に立ちすくんでいる
女の子が
じっと僕を見ている。
そっと髪を撫でてやると、
女の子の首にも
何か光っているのが見えた。
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