第49話

僕はゆっくりと


その人に向かって

歩いて行った。


加奈が後ろから

付いてきている。


母親が僕に気づき、

女の子は

不思議そうに首をかしげた。


アカネの妹だろう。


父親が違うせいか、


あまりアカネには

似ていなかった。


それに比べて母親は、

声どころか、

顔や背丈までも

アカネに瓜二つで、


僕は上手く目を

合わせる事すら躊躇われた。


「遅れてすみません」


「あら、いいのよ。

お墓参りだけでもしてやって」


「俺…」


「ん?」


「俺、アカネを

助けてやれなくて


本当にすみませんでした」


僕は深々と頭を下げた。

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