第42話

ふと、こないだ逢った時の

神田さんを思い出した。



確か、

何か“乗り移る”と叫んでいた。



…もしかして、


あれはじいちゃんが

乗り移っていたんじゃ

ないのだろうか?


話し方も今思えば、

じいちゃんの

話し方にそっくりだった。


そういえば、

あの日の風邪も…、


――風邪。


じいちゃんも死ぬ前、


肺癌のせいで

随分咳きこんでいたと

ばあちゃんは言っていた。


それに戻った日も

なぜかじいちゃんの葬式の日だ。



間違いないと思った。


きっとじいちゃんの

仕業に違いない。


だけど、どうして……。



僕はハッとして

ピアスだけ手にして家に戻った。


部屋に入り、

部屋中の引き出しを

片っ端から開けていった。



そして棚の奥に

一冊の本を見つけた。

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