第43話

と、その上にあの腕時計も

重ねて置いてあった。


先に腕時計を

取り出した。



時間は

僕とは裏腹に

今も刻まれて続けている。


それから

白い表紙の本を手に取った。



“過去で君が待っている”



パラリと

一ページ捲ってみる。



<プロローグ


時間など、

この世に存在しない。


僕らに与えられたのは


“今”という

瞬間の煌めきだけなのだ。>



分厚い本だった。


だからこそ

僕は途中で投げ出して

しまったのだった。


僕はその本と


携帯を抱えて

ベッドに潜り込んだ。

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