第36話
アカネが
死んでから三年。
少しずつ
色褪せていたはずの
思い出が、今
また鮮明になっている。
一体何の意味が
あったというのだろう。
僕はいつのまにか
力いっぱいに握りしめていた
ハンドルから手を離した。
何もかもが
どうでもよくなった。
あの時、
やっぱり僕も一緒に
死んでおけばよかったのだ。
すぐ隣に
アカネがいるうちに。
彼女が
眠っているうちに、
ロミオとジュリエット
のように
抱き合って
共に死んでしまえば
よかったのだ。
彼女と一緒に
息絶えられていたら
どんなに楽だっただろう。
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