第35話

ふと窓の外に

小さな公園が見える。


ブルーのレジャーシート、

そして段ボール

それらが公園の隅に


ただ一つだけ

立っている街灯に

ぼんやりと

照らされている。



あの場所だ、と思った。


あの、桜並木の奥に

あったあの公園だ。



まさかここに

繋がっていたなんて。


とすれば、


やはり夢でなかったと

いうのだろうか。



もし夢だとしたら


僕はここにはまだ

来たことがないはずなのだ。



そうだ、

未来の僕は

加奈と住んでいたはずだ。



やっぱり

未来は変わっている。


小さな希望の光が

見えた気がした。



が、


それは一瞬にして

空に広がる

ブラックホールの中に

吸い込まれていったのだった。



あれが現実だったら

どうなるというのだ?


そう。


アカネは

死んでしまったのだ。



アカネは

もういないのだ。

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