第22話

ちょうど昨日炊いた

ご飯のあまりと、


卵、

チルドにウインナーと、

野菜室に

玉ねぎがあった。


とりあえず、

炒飯で決まりだ。


深めのフライパンに

油を垂らし、


玉ねぎと

ウインナーを炒め、


卵を溶いて流し入れる。


それから

冷やご飯を投入し、

醤油、

塩コショウで味を付ける。


ふとアカネを見てみると、

まだ眠たいのか

大きなあくびを手で隠して、

目をこすっている。


窓から

入り込む日差しに


細い髪一本一本が

キラキラと反射して輝き、


天使の

輪っかができている。



胸が

ドクンと波打った。


まるでもう迎えが

来ているのかと思うほど、


彼女は透明に見え、

今にも光に包まれて

消えてしまいそうに思えた。


目の奥が

じんと熱くなっていく。


慌てて炒飯に

目を戻してみても、


それは

すでに我慢が効かず、


一粒の涙が

ポトリと炒飯の中に

落ちていった。

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