第21話

「ねえ、大ちゃん」


「ん?」


「お腹すいちゃった」


「何か買ってくる?」


彼女は振り返って

僕を見ると、


首を傾けて


「大ちゃんが何か作ってよ」


と言った。


僕はコーヒーを淹れるのには

自信があったが、


料理というものは

ほどんどやった事がない。


作った事が

あるものと言えば、


炒飯と僕の好物の

ジャーマンポテトくらいなものだ。


「俺、料理

なんかできないよ」


「適当でいいから、ね?」


いつもなら

断っている所だが、


今日のアカネの

頼みとあれば、

それは絶対的なのだ。


僕は頭をかいて、

しばらく考えてから


しぶしぶ起き上がり、

台所に立った。


冷蔵庫を開けてみる。


いつもコンビニ飯ばっかり

食べているけれど、


米だけはどうしても

自分で炊かないと

食べられない。

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