第5話

「…未来に


……私はいないのね?」


「いや…」


「私、死んじゃったんでしょう?」


「そんなわけないよ!」


僕は声を

張り上げて否定した。


「嘘つき。わかるんだから。


知ってた?

大ちゃんって嘘つくと

目がすっごく泳ぐのよ?


それに未来に

私がいるなら未来で


逢いに来ればいいじゃない。違う?」



何か良い言い訳を

探さなければ、


と思うのとは裏腹に

僕の口は

押し黙ったままだった。


「…でも何となわかるのよ。

最近ね、すごく胸が苦しくなるの。


ろくなもの食べてないし、

きっとそのせいもあるんだと思う」


「なら早く病院に…」


「それで未来は変わるの?」


アカネの目は

真っ直ぐに

僕の目を見つめた。


まるで僕の身体を透かして、

さらにその奥まで

見透かされているような

そんな視線だった。


「それは…」


全ての逃げ道を

塞がれたかように、

僕は何も言えなくなった。


「…なら私は

一秒だっておしいわ。


病院なんかに行くよりも、

大ちゃんの目を見ていたいし、


触れていたい」

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