8

いよいよ実行に移す時間となった。

時間は深夜。

付近は人通りの少ない街はずれで、遠くから稀に車の走る音が聞こえる。

「よし、いくか。」

車一台止まっていない駐車場を横切って、淳たち4人はスーパーの従業員入口まで小走りで近づいた。

「カギはどうするんだよ。壊すのか?」

淳は今回の計画について詳細を知らされていない。

「バカ。そんなことしたら警報が鳴ってすぐに見つかるだろ。」

「これがあんだよ。」

拳はそう言って、古い作りのカギをポケットから出した。

どうやらそれは合鍵で、なにかしらのツテで入手したものらしかった。

拳の手に合わせてカチャリという音がして扉が開く。


4人は音もなく店内に忍び込んだ。

拳の先導にしたがって、薄暗い従業員用の通路を懐中電灯で照らしながら進む。

入り組んだバックヤードをしばらく歩いていると、通路の突き当りに扉が見えた。

「ここだここ。」

拳の先導で、4人は部屋に足を踏み入れた。

部屋の中には、たくさんのモニターがある。

日中はここに監視カメラの映像が映し出されているらしかった。

拳はそれらには目もくれずに一直線に部屋の奥に向かう。

ライトで照らされた先には、小型の冷蔵庫ぐらいの真っ黒な金庫。

「よし。」

拳は息をのんで、金庫についたダイヤルを回し始めた。

淳たち3人はその様子を黙って見つめた。

「あ、あれ?」

拳が慌てている。

「なにやってんのよ。早くしてよ。」

里香が拳をせかす。

「聞いてた番号と違うな。」

「マジかよ。」

「どうすんだよ。」

「ちょっと待てよ…あ、空いたわ。」

カチャリという音とともに金庫の鍵が外れた音がした。


と、同時に4人の背後で扉が開く音がした。

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