3

女に連れられて行った席には、ぱっと見、大柄な男と地味目な女が座っていた。

「そいつは?」

大柄な男が淳に気づいて、美人の女に質問する。

「うちらと同じ西校なんだって。」

「暇そうにしてたから連れてきた。」

「マジか。何年?」

大柄な男は淳に視線を移した。

「2年だけど…」

淳が答える。

「お、じゃあタメだな。俺は松浦拳まつうらけん。」

拳はそう言って、右手を差し出した。

今どき握手なんて珍しいと思ったが、断るのも少し気が引ける。

というのも、拳は180cmを超えるていてかつかなり筋肉質な体型で、目つきも鋭い。

いわゆる武闘派というものだろう。

「あ、ああ俺は田辺淳。」

そう言って握った手はかなりゴツゴツしていて、なにか格闘技でもやっていそうな雰囲気を携えていた。

淳はもう一人の女の方に目を向ける。

女は淳に興味がないのか、淳の方を見る訳でもなくスマホをいじり続けていた。

すると、状況を見かねてか美人の女のほうが話し始めた。

「こっちは桃子。関桃子せきももこね。」

桃子と紹介された女は少し小柄な体型で、淳をテーブルに誘った女と同じく、制服の上からパーカーを重ね着していた。

桃子はちらっとスマホから視線を上げて、小さな声で「よろしく」と言った。

この少女はどこかおどおどとしており、あまりこの場に似つかわしくない印象を淳は感じた。

とにかく歓迎はされているようだ。

「んで、私は宍戸莉香。みんなあんたと2年。」

そう言って、ちらりと席に座った2人のほうに目をやった。

端正な顔立ちをした莉香からは、淳をこのテーブルに招待した意図が読み取れなかった。

「よろしく」

ぶっきらぼうにそう言って3人を順番に見る。

一瞬、誰も話さない無の時間が流れた。

そしてその間を埋めるかのように莉香が口を開いた。

「でさ、」

「なんであんたはこんなとこにいるの?」

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