第6話

「何度でも、忘れさせて差し上げます。貴方様が望む限り」





俺が、望む限り。



甘えて、すがってしまいそうになる。



込みあがってくる涙を、どうにかして押し込める。





「・・・その内、私無しでは生きていけないようなお体にしてあげます」





えっ?と思って上げた瞳に映ったのは、呉羽の意地悪く笑った顔だった。



瞬時に赤くなった俺を見て、呉羽は声を上げて笑った。



こんなに無邪気に笑う人だったかなと思うくらい。






「ねえ、呉羽」



「はい、大和様」





首を傾げた呉羽を見て、口を開く。






「・・・呉羽って本当に俺のこと、好きなの?」







時折呉羽の考えてることわからなくなるんだよな。



真顔で尋ねた俺をぽかんと呉羽は見つめる。




あれ?と思って口を開こうとしたら、思い切り平手打ちされた。





星!と思って床に崩れ落ちる。







「何て鈍感!!!」








ええ?!!





「貴方様は、一から女心、勉強なさいませ!!!!」



「く、呉羽!!」





慌てて立ち上がって、その背を追おうとする俺に向かって呉羽は顔を赤くして叫んだ。





「何か着てから追いかけて来てくださいませ!!!」






そう言われて自分が何も着ていないことに気付く。



今までは脱ぎ捨てた衣やらが掛かっていたからいいとして、立ち上がった途端にそれがするりと床に落ちた。





本気でこのまま死にたくなったのは言うまでもない。

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