第5話
焦った俺が馬鹿みたいだ。
がっくりと肩を落とした俺を見て、呉羽は声を上げて笑った。
「では尋ねます」
「え?」
「私のこと、どう思っております」
どう。
どうって・・・
「・・・正直よくわからない」
呟いて、ごめんと思う。
あんなことしておいてだけれど。
呉羽は笑って頷いた。
「そうでしょう。でもいいのです」
「え?」
首を傾げた俺に、呉羽はさらに微笑む。
「あの瞬間、七百年後ではなく、この時代を選んだ。一時でも、それでもそれは大和様にとって大きな一歩ですから」
俺にとって。
そういう熱を、拒絶していた俺にとって。
こくりと、頷く。
そう言ってくれてありがとう、と思って。
「・・・私は本気です。大和様」
呉羽がそう言ったのを聞いて、顔を上げる。
「本気で貴方様をこの時代に繋ぎとめておきたい」
俺を。
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