第55話
「赤松に仕える家臣の娘だ。年は同じくらいだと思うよ。」
「そう・・・。仲良くなれればいいわ。」
呟くと、真白くんは笑った。
「姫様なんだから、そんなこと考えなくていいよ。」
無条件の忠誠とでも言うのかしら。
でも考えてしまうからしょうがない。
そういう感覚がないから。
「失礼いたします。」
唐突にそう言う声がして、御簾が上がる。
智久さんの向こう。
一重の小柄な女の人が座っていた。
私を見て、深くひれ伏す。
「赤松家家臣、櫛橋家の飛鳥と申します。」
私よりも少し下のような気がするけれど、しっかりしている。
にこりとも笑わないけれど、じっと見つめてくるその二つの瞳が力強い。
くしはし、あすかさん。
「南の御方様にお仕えするべく、参上いたしました。何卒宜しくお願い致します。」
「こ、こちらこそ宜しくお願いします。」
戸惑って、言葉が揺れる。
飛鳥さんはやっぱりにこりともせずに私を見つめていた。
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