第12話
「顕家様。」
そんな声が背後からかかって、足を地面に縫いつけた。
「御手を。」
顔をそっと上げた智久さんは、やっぱりただものじゃないような気がする。
真白くんは無言で智久さんを数秒睨みつけて、私から手を離した。
熱が離れて、正気を取り戻す。
こんなこと、誰かがいる前でしちゃダメだって。
「その御手は、私がっっ!!」
突然そんな声がして、智久さんが私と真白くんの間に滑り込んだ。
その手は真白くんの手を取って、空いた手で私の手を取った。
間に智久さんを挟む形になって、どういう状況か理解できずにぽかんと口を開ける。
振りほどくことも忘れた。
「何やってるんだよっ!!気持ち悪いんだよっ!!」
ぎゃああと叫んで真白くんは智久さんの手を振り払う。
そして私の手を智久さんが取っていることに気付いて、慌てて手を伸ばす。
「智久、本気で死んでっ!!」
そんな荒げた声と同時に引き離される。
「私も姫と仲睦まじくなりたかったのですよ。ね、姫っ。」
にこっと笑った顔を見て、考えすぎかしら?と思う。
「ならなくていいよっ!!さっさと行くよっ!!!」
真白くんは全力で智久さんから私を遠ざけて歩き出した。
側近?なのかしら?と疑うほどの拒絶ぶりで。
智久さんは、それでもめげずに追ってきたけれど。
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