第11話

「俺の側近の一人。」






真白くんの側近?



側近と言うと、東湖さんくらいしか思い浮かばないけれど、そんな感じなのかしら。






真白くんが甘い柔さを湛えているような容姿をしているとしたら、



真逆。





笑ってはいるけれど、黒い番犬のような雰囲気をかもしだしている。





真白くんよりも少し背が高いし、真っ黒な切れ長な瞳と、黒い髪が、そんな強さを湛えている。





私を観察して、見極めているのはすぐにわかった。





この北畠家にふさわしい人間かどうか。






北畠の娘として、真に認められるかどうか、試されているような気がした。






私も揺らがないようにその瞳をじっと見据える。



きっとこの人は真白くんの忠実な番犬なのだと、すぐに理解したから。






「・・・初めまして。雛鶴と申します。ご迷惑、おかけすると思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。」






何としてでも、北畠家にふさわしい人間として認められなければ。




自分が何のためにここにいるのか、もう一度考える。






彼と生きたいから。



傍にいたいから。





それしか、ないから。







「・・・鈴木智久と申します。以後お見知りおきを。私、顕家様の一の・・・そっ、」






突然真白くんが智久さんの頭を思いきりはたいた。




一のそ?






「まっ、真白く・・・。」




思わず目を見張る。






「こいつの話、聞かなくていいから。」







素っ気なくそう言って、どんどん歩きだす。



そ、そんなことを言っても。





手を引かれたままだったから、少し躊躇したけれど私もその力に抗うことなく足を前に出す。

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