第2話
「・・・しないよ。心配しなくていい。俺が俺の義姉に対して目をかけていたって、不思議なことじゃない。」
義姉。
ズキっと胸に突き刺さる。
その言葉の重みを、真白くんが言うことでようやく理解する。
私たちは、姉弟になるのだということが、ズシリと胸の内に圧し掛かる。
「ただ、良い御子を産んでくれればいい。」
真白くんは触れたらすぐに消えてしまいそうな、まるで淡雪のような笑顔を湛えて、また歩き出す。
静かに引かれたその手に、少し力が籠る。
その力に抗うことなく私も足を前に出す。
しばらく、無言だった。
ただ、切なくて、その切なさが喉を焼くから声が出ない。
踏みしめる山の赤土が、足を取るから足取りが重くなる。
「・・・から。」
真白くんが呟いて言葉を落とす。
「え?」
聞き取れなくて、尋ね返す。
真白くんは振り返ると同時に、強く私の手を握った。
その痛みが全身を駆け巡る。
「姫と大塔宮様に何かあったら、俺が育てるから。」
わっと、泣きだしそうになった。
どういうわけか。
ただ、目を見張る。
言葉が落ちなくて、瞳を揺らす。
真白くんは私をじっと見つめる。
その瞳は揺らがない。
心の底からそう思っているんだって、確信する。
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