第48話

「・・・少し、寝たら?顔色悪い。」




「そうか?大丈夫だ。」





大丈夫、と言って、その真の姿に触れることを許さない。





揺らぐこともなく、



苦しいと、もらすこともなく、





そうやって立っている。





何て人か。



その強さに、何度も驚く。






「・・・宮様。」




「ん?」





「明日・・・。」






明日、まで言って言葉を切る。







明日、吉野は落城する。








そう言おうと思った。



けれど、言葉に成ってくれない。






「ううん。明日は12日目だよ。持てばいいね。」






宮様はそれを聞いて、深く笑った。



言えない。





俺には、決して。






俺も明日、生き残れるだろうか。



いや、今日、生き残れるだろうか。






そっと暮れていく空を見つめる。




赤に染まって、血に染まるようなこの世界を。

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