第32話

「あと、赤い鬼と恐れられる少年が凄まじいお働きをしているようで。」







え?




思わず、思考回路が停止する。






赤い、鬼?







「それって、もしかして・・・?」






真白くんがやっぱり私の気持ちを代弁するように呟いていた。





「さあ?私にはわかりませんが、恐らく真白殿と同じくらいの歳の少年かと。」






思わず、真白くんと顔を見合わせる。




東湖さんが私を見て薄く笑った。






「貴女様に、そっくりな。」







熱が、ストンと落ちて行く。



耳の奥で何度も鳴るのは、東湖さんのその言葉。






私に、そっくりな。






「・・・知って・・・?」




やっとの思いで言葉を吐くと、東湖さんは口を開いた。





「一度だけ、お会いしました。会ったと言っても、すれ違っただけでございますけれど。」






大和だ。





大和しかいない。





赤い鬼?





それは、何?







「何だよ、そいつお前の血縁?そういや何かいたな、お前にそっくりなヤツ。」





左虎くんがケラケラと笑って聞いてくる。







「私の・・・弟。」







弟。




私の。





血を分けた、弟。

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