第26話

夢を見た。





誰か立っていたような気がする。





誰だ?





そこで俺を見て笑ってるのは、誰?






真白?





なんだよ。





ほら、やっぱり真白だ。







「・・・たい。」






え?



うまく聞こえない。




何だよ、はっきり話せよ。






「・・・会いたい。」






会いたい?



俺に?





何だよ、突然。




どうしたんだよ、真白。






お前、今どこにいる?






もしかして、姉ちゃんと一緒に上赤坂に?



それとも、姉ちゃんを連れて、京へ?






いや、きっと上赤坂だろう。






大丈夫、お前はきっと死なない。




だって俺、歴史を知っている。






大丈夫。



お前はこんなところじゃ、死なないよ。






「会いたい、大和。」






やまと?





何でお前、俺の名を。






ぐらりと地が揺れたと思った途端、真白の姿が崩れる。




青に押しつぶされるように、ぐしゃりと。







「会いたい、大和。」








声だけが残る。




崩れた真白は、そのまま黒になる。






そして瞬きをして開いた瞬間、それは高時になった。

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