第24話
「・・・そうか。上赤坂は大丈夫だろう。正成に任せておけば安心だ。問題はこちらがどれほど持つかだな。」
こちらがどれほど持つか。
「10日持てばいいと思っていたが、な。」
もっと持ちそうだと?
その横顔をそっと瞳に映す。
「戦況は、悪そうだ。10日持つだろうか。」
宮様は呟いた。
え?と思う。
「どうして?どう見たって、俺たちのほうが押してるじゃないか。」
思わず口を挟む。
鎌倉幕府の数が多くたって、俺たちのほうが勝っている。
死傷者の数を見れば、一目瞭然。
「表面上はな。けれどやはりこちらの兵力不足は否めない。」
宮様は薄く笑った。
「愛染宝塔のところが、ほぼ無人なのに鎌倉殿が気づいたら、ここは堕ちる。」
思わず息を飲む。
宮様は、気づいて・・・。
「いつまでだませるかが問題だがな。」
「きっと大丈夫ですよ。このまま押して私たちが勝ちましょう。」
袋小路の戦い。
ぼんやりとそんなことを思う。
行き止まり、どん詰まりの戦い。
勝機がないってこういうことかとぼんやりと思う。
どんなに足掻いても、勝てない戦い。
それが、この吉野の戦い。
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