第49話
「則祐はいつもそんなだ!無口だし!口を開いたと思ったらそうやって意地悪を言うんだ!!」
「「真白が一番うるさい。」」
思わず言った言葉が、則祐とかぶる。
全部言った後に、顔を見合せて2人で笑った。
けれどこのバカみたいなやり取りが、現代を思い出して少し悲しくなった。
友達といつも大笑いしながら過ごしていたことを思い出して苦しくなる。
「・・・太一は、姫に似ている。」
則祐は呟いた。
姫に。
姉ちゃんに。
「最悪だよ。その垂れ目。」
真白はちょっと俯いてぐじぐじと呟く。
「姫って?誰?」
ごまかして、そう聞く。
この時代に生きる姉ちゃんのことも知りたい。
「法師様のご側室。雛鶴姫。」
「太一を傍に置くのも、雛鶴姫に似てるだけだ。感謝しなよ。」
真白はそう言って俺を睨みつける。
それは確かにそうだろう。
俺が姉ちゃんに似てなければ、きっと狼は俺を殺していたはず。
「則祐は会ったことがあるの?」
尋ねると、則祐は小さく頷いた。
「最近までお傍で過ごさせてもらった。けれど、畏れ多くて言葉を交わすことはほとんどなかったな。」
「則祐は元々無口だしね。あんな女のどこが畏れ多いのか俺には全くわからないし。」
そう言いつつも、真白は笑っていた。
嬉しそうに。
姉ちゃんを思い出して?
雛鶴姫を懐かしんで?
会いたいと、真白も思っているのかな。
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