温かい場所

第45話

■■■■









「俺は反対です!!宮様なんで!なんでこんなヤツ一緒に連れてかなきゃならないんですか!!」




「真白、私のことは宮と呼ぶなと言っておるだろう。」




そう言われて、真白はぐっと唇を噛んだ。




ざまあみろと思って、にやりと笑う。





「笑うなよ。お前、胡散臭すぎ。」





そんな俺の表情を目ざとく見つけて、真白はその怒りの矛先を俺に向けてきた。




「勝手に疑えばいいよ。」





本当によく連れてってくれたな。


昨日のことを思い出して、そんなことを思う。





自分のことをこんな風に言うのもなんだけど、真白の言う通り、こんな素性もわからないような人間をよくこの人は一緒に連れて行くと決意したよな。






「法師さま。真白殿の言う通りですよ。これでは私たちの気が休まりません。」






そう言ったのは、俺と同じくらいの年の若い男だった。


余り目立たない黒目がちな男。





「則祐の言うとおりだよ!法師さま!」





のりすけ?



この男の名か?



じっと見つめると、そいつは口を開いた。





「赤松則祐。」





短くその名だけ俺に伝える。


俺はただ頷いた。





あかまつ、のりすけ。





ああ、そうか。



一瞬でこの男の生涯を把握する。





この男、追々高氏の手足になる男。





俺の手足になる男。





まあそれは後の話。


とりあえず、仲良くなっておいたほうがいいだろう。

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