第15話
「千剣破はどうだったんだよ?」
「まあぼちぼちだね。お前たちも明日から共に来るんだ。」
「ええ、参りますとも。ここも食べつくして飽きましたゆえ。」
ちはや。
千剣破城まで?
2人は楠木さんについて行ってしまう。
私はどうしようかしら。
「ね、ねえ、私も一緒に行ってもいい?何か手伝うわ。」
断られたらやだなと思ったけれど、こんな素性もわからないところに一人残されるよりは一緒に行きたい。
「月子も共に来るのが当たり前さぁ。千剣破は今築城中だから炊き出しとか手伝ってくれるとありがたいねぇ。」
炊き出しってことはご飯とかよね。
「お安いご用よ!体動かしてたほうが私も嬉しいし!」
やることがあるって、本当に素敵。
こっちに来て、心の底からそう思うようになった。
「月子殿、いろいろな体の動かし方というものがございますよ。例えば私と2人でとか・・・」
そこまで言った東湖さんに向って、ギロリと睨みつけると彼は途端に黙った。
「お前はいつも変わらないねぇ。ほどほどにしないと後が怖いよ。」
「殿の仰せでしたら・・・なんて無理な話しでございます。」
はははと乾いた笑いがあたりに満ちる。
確かに東湖さんからエロを奪ったら骨の欠片すら残らない気がする。
「それよりもここは誰の家なの?なんだか当たり前のようにご飯も寝る場所も用意してもらったけど。」
楠木さんに尋ねると、楠木さんは笑った。
この2人よりは遙かに遙かに信憑性がある。
「知らないねえ。」
その言葉に顎が外れそうになる。
余りにあきれ返って。
「し、し、し、知らないって!!!」
自分の声がぶるぶる震えている。
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