第14話
「それにしても、ここはどこなの?」
基本的なことを聞かないまま私はさぞ当たり前のようにこの家にいるけれど、全くここが誰の家なのかわからない。
「俺も知らねえし。」
「私も知らないですね。」
え?
思わず目を丸くした。
そ、そんな!!
嘘だ!!!
「だ、誰の家なのよ!!!あんたたちだって、ここに住まわせてもらってるんでしょ?!」
「知らんもんは知らん。そんなん気にするなっての!」
左虎くんはぎゃははと豪快に笑う。
気にするわ!このバカ男!!!!
「いいのですよ。河内の家々は皆家族のようなもの。この家の主とて困っておりますまい。すでにこの家の娘は私がいただきましたが。」
さわやかに笑った東湖さんに思わず蹴りを入れた。
「な、なぜ私だけ蹴るのですか!」
「なんだか腹が立ったのよっ!」
なんだこの底抜けのバカ2人は!!
本気でブチ切れそうになったときに障子が開いた。
はっとして顔を上げると、今一番会いたい人が立っていた。
「もう仲良しじゃないかぁ。安心したね。」
にこにこ笑ったその人を見て、本気でブチのめしたくなるのを必死でこらえる。
「殿!おっかえり~!」
「お帰りなさいませ。ええ。もう月子殿とは必要以上に仲よしに・・・」
「なってないから!!ちょっと楠木さん!突然ほったらかして行かないでよ!いろいろ聞きたいことあるんだから!っと・・・お、お帰りなさい・・・。」
楠木さんは相変わらずにこにこ笑いながら私たちの前に座った。
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