第13話

つまりはすでに他の男の元へ行っているように見せればいい。





まるで今出て行ったかのように、掛け布団を乱し、私自身は押し入れの中へ。




これが意外とバレない。




まあ、押し入れまで探しに来るほど、この時代の男の人は執着しない。



この女がダメなら別の女の元へ行くだけ。



相変わらずこの時代の男の人はさっぱりしているというか味気ないというか。




いや、多分これが普通。




彼だって、初めて会った時はそんなことばかり言っていたしな。





現代で育った私にとって、こんなエロに対して寛大な時代があったこと自体知らなかったから、ものすごく驚いたけれど。






それよりも押入れの中で眠る側室は、確実にどこを見ても私一人だろう。






「月子もさ、ちょっとお固くねえ?お前実はどこぞの姫さんだとかやめろよ。」




ガバリと起き上って左虎くんは言った。


若干ひやりとする。




一応『姫』とは呼ばれていたけれど、元々は私はごく普通の女子高生だったし。





「違うわよ。そんなんじゃないの。こんな姫様がいるわけないじゃないの。ただ私は私の恋人のことがすっごく好きなの。」




「そんなにいい男なのですか?」




「世界一。」





きっぱり言ってのけると、2人はため息を吐いた。




「のろけんなよ!ま、いっか。俺たち友達だもんな!」




そう言って、ゲラゲラ笑いながら左虎くんは私の背を思いきりバシバシ叩く。



「痛いって!ちょっとは手加減しなさいよ!」




「月子殿。寂しくなりましたらぜひ私をご指名くださいね。すぐにでも慰めて差し上げますから。」




すっと、東湖さんの手が私の肩をなぞる。




「そんな慰めいらないから!!」





退屈は、しないと思う。




この胡桃色の美しい世界は、なんだか賑やかで、楽しさが満ちている。






貴方は今どこにいるのかしら。







まだ、むせかえるほど濃い、あの緑の国にいるのかしら。




どこにいても祈ってる。






貴方の無事と、もう一度の再会を。

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