第93話

「重信!」





朔太郎さんが驚いたように声を上げた。




「おう!戻ったよ、朔太郎。それよりすげえな、この人!」






こ、この子が重信さん?




ひょろりのおじさんの息子?






まだ全然若いじゃないの!






「俺、戸野重信!この家の息子。親父から聞いたけど、もしやあんたらか?居候してるとかってのは」




「そ、そう!」



「そうだ」




法師さまも答える。



重信くんは、私と法師様をまじまじ見て笑った。





「あんたって、本当に女?」





にっこり笑って尋ねる。



え?



その問いはもしや私に向けられてるのかしら?




法師さまに言ってるわけじゃないわよね?



その瞳は私を見ているし・・・




半ば信じられずに、ただ瞳を揺らして重信くんを見つめる。





私、男に見えるの?!!!






「そんなに剣が使えるなんてさ、もしかしてあんたが帝の皇子じゃない?」





無邪気に笑った。



また出たわ。




みかどのおうじ。




思わずムッとする。




「違うわよ」




誰よそれ。



それと私が女だって言うのは関係があるのかしら。

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