第91話

「あんたねえっっっ!!!!一言くらい謝りなさいよっっ!!!!」






もう止められない。



殴られることを覚悟して、傍にあった竹ぼうきを掴んでその乱闘に加わる。




「ひっ、ヒナ!!!」




彼の驚いた声が、聞こえた気がした。



けれど、もうどうでもいい。





「だから男なんて嫌いっ!!!喧嘩ばっかして!喧嘩するのがかっこいいと思ってるのっ?!!!」





叫びながら、竹ぼうきを振り下ろす。



懐かしい、この感じ。





久しく振ってなかったな。





「一言、謝れっっっ!!!!」




叫んで振り下ろした竹ぼうきが、見事に面に入って、謝りもしなかった男が仰向けで倒れた。





しまった、殺しちゃったかもと思って正気を取り戻す。



はっと気づくと、朔太郎さんもその仲間たちも驚いた表情で地面に倒れこんでいる。




「す・・・」




朔太郎さんが、呟いた。




ああ、もう私ここにいられないかもしれない。


こんな凶暴女なんて追放かもしれない。




ひやひやと体中の血液が凍り付いていく。




ど、どうしよう!!






「すいませんでしたあっっ!!!!」






今度は私が面を食らったような衝撃に襲われる。



土下座。




土下座している。





私に向かって。



朔太郎さんや、そのお仲間たちが。





それを見て固まった私に、彼は声を上げて笑った。

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