第84話
「貴方は適任だと言うの?」
そう尋ねると、彼は少し目を見張った。
少し考えていたが、すぐに口を開いた。
「適任ではない。ないが、それでもやらねばならぬのだ」
適任じゃない?
「・・・それは、貴方が本当にやらなければならないの?」
彼は黙った。
少し時間を置いて、ようやく口を開いた。
「私がやらなければならないことだと信じている」
信じて。
「だったら、それはきっと適任になるわ。応援しているから、頑張って」
きっと、ものすごいお寺なんだわ。
2度住職になっているとしても、もっとすごい地位があるのかもしれない。
きっとそのすごい地位になったら、この人は結婚なんてできなくなるのね。
ん?
お父さんがそんなんなら、もしかしてこの人も女の人を沢山はべらかすような人になるのかしら。
「・・・うむ」
彼は、小さく頷いて視線を外した。
あ、唐紅。
鮮やかな、赤。
照れくさそうに、視線を落としたけれど、その頬は真っ赤。
それを見て、伝染したように自分の頬も赤くなったのを感じた。
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