第83話

「・・・そうとも言うな」





愛人が、三十人っっ?!!



た、たしかにそう考えればわかるかもしれない。


20人子供がいたっておかしくはない。




「貴方のお父さんどうなってしまっているのよ!!!!奥さんがかわいそうだわ!!すぐにやめさせなさいよっっ!!!」




思わず叫ぶ。


奥さんも平気なの?!


離婚とかしないの?!





「かわいそう?その感情はちょっと理解できぬな。確かに、父の側室の数は多いかもしれぬが、それも子を残すための立派な務めだ」




わっかんない。



この時代の常識が全くわからない。




子を残すための立派な務めって!!




ただのエロのためじゃないの!!!





「・・・わからないわ・・・」



「私にもわからぬ」





「立派な務めだとしても、ちょっと多すぎよ。貴方のお父様が偉い人で、跡継ぎがほしいから沢山子供を作ったとしても、それがこの時代の常識ならいいのよ。でもね、20人も作らなくたって、跡継ぎなんて1人いればいいじゃないの」




貴方が跡を継ぐんでしょう?



だから、小さい頃から修行して、立派なお坊さんになったんでしょう?





「・・・ヒナの言うことはもっともだな。けれど適任かどうかは育ってみなければわからぬだろう」





不敵に笑う。



ああ、また黒。




時折滲む黒に、真実のこの人がわからなくなる。

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