第78話
「僧侶でも剣をたしなむものなのですよ。雛鶴殿。僧兵と言うものをご存知ないですか?」
「そうへい?」
「僧侶も武装するのだ。治安が悪いからな。寺が襲われることがある」
彼もそうだと言うように、彦四郎さんに便乗する。
「ふうん。お坊さんも戦うの?大変ね」
「そうだ。大変なのだ。世が乱れても、寺社は裕福だったりするからな。いろいろと狙われるのだ。大きい寺なら、そのような武装集団を持っているものだ」
そうか。
確かにいつの世でも、お寺や神社は裕福そうだ。
「そうですよ。法師様は座主も務められているほどの高僧ですからね。いろいろとあるのですよ」
彦四郎さんはにっこり笑った。
「ざす?」
首を傾げた私に、彼は笑った。
彦四郎さんは、戸惑ったように声を上げた。
「僧侶の中の長ですよ。え~っと・・・」
「ご住職ってこと?」
「そうだ」
彼は肯定した。
じゅっ、住職ってすごい人じゃないの!
「貴方、まだ若いのに・・・」
「二度務めておる。初めて座主になったのは二十歳のときだ」
は、二十歳のときって・・・
この人、ものすごいお坊さんだったの?!
「まあそういうことだ。剣ダコも気にするな」
なんだか上手く丸め込まれた気がするけど、まあいいか。
思えば私、彼のこと何も知らないに等しいから、ちょっとだけ知れて嬉しいかもしれない。
嬉しい?
なんで私、そう思ってしまうのかしら。
なんだか恥ずかしくなって、慌てて彼と同じように温かいお茶に口を付けた。
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