第73話

しばらくその手を見つめていたけれど、彼の寝息が一層深くなったのを聞いて、そっとその手に自分の手を重ねる。




起きたらどうしようと思ったけれど、それよりも触れたくて仕方なかった。




私が嫌だと言ってから、彼は指一本触れてこない。



それでいいと思っていたのに、どういうわけか今は私が触れたくて仕方がない。






案の定、氷みたいに冷たかった。






彼が起きないか確認したけれど、その瞳が開かれて月明かりに反射することはない。



寝息は乱れない。




やっぱり、この手。




白い鳥居の前で、私を掴んだ手。




この手で間違いない。




あら?


この手、大和の手にそっくりだわ。




今まで意識が回らなかったけれど、私の手にも似ている。





この人、本当に・・・






そんなことを考えていたら、うとうとと眠りの淵に落ちていった。

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