第68話
「・・・何か言ってよ」
怒っているなら怒っていると、
こんなぎゃあぎゃあ騒ぐ女なんて、嫌だと、突き放してほしい。
そうしてくれれば、いい。
幻滅したって、言ってくれればいい。
私、どこかしら貴方に頼っている。
その存在にすがろうとしてしまう。
もちろん、私をこの時代に呼んだ本人でもあるけれど、それ以外にどこか、
どこかしら、彼にすがってしまいそうになる。
べったりお荷物になる前に突き放してくれれば、一人で生きて行くほかないと覚悟を決めるから。
「・・・か?」
「え?」
ようやく彼が口を開いたけれど、上手く聞き取れない。
顔を上げると、目が合った。
いつの間にかこんなに傍にいる。
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