第58話

「ちづちゃん、あたしの兄様」




「竹原正吾だ。宜しく」




すっと音もなく、私としげちゃんの傍に座る。



雪が、静かに地面に落ちるように。






「ショウ兄様は、若衆組の組頭よ」






しげちゃんはにっこり笑って言った。




くみがしら?


と、言うことは・・・






若衆組のNO・1?!!



思わず瞳を二・三度パチパチさせる。



こんな儚い人に、あのエロ集団がまとめ上げられるのっっ?!!





「今法師様に会ってきたぞ」





にっこり笑って正吾さんは言った。



その瞬間、脳味噌に向かって、冷たいものが矢のように突き刺さる。




「あっ、あっ!会ってきたって!!!」




「やだ、ちづちゃん。挙動不審になってるわよ」




しげちゃんは呆れたようにため息を吐く。


正吾さんは、突然崩れた私を見て、くすくす笑っている。





「ああ、会ってきた。一応ちづは私の家にいるからな。相思相愛と言っても、組頭としてはそれが真剣なものかどうか判断しなければならない。それが私の務めだからな」




相思相愛って!!!!


愕然としたが、何とか気を取り戻す。




それよりも、昨日法師さまがそんなことを言っていたのを思い出す。



真剣な交際じゃなかったら、酷い目にあうとかそんな事を。





真剣も何も、偽装なのよ!!!






もしやバレたら、私も法師さまもここから追い出されてしまうことになる?!!

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