若衆組
第47話
何?
夕、どうしたのそれ?
え?わんちゃん拾ってきちゃった?
ダメよ。誰が面倒見るの?
夕が見れるの?
散歩行かなきゃだめなのよ?朝も、夜も。
お姉ちゃんは家のことで忙しいから、その子に構っていられないわよ。
ちょっと、夕!
あ、結構重いのね。
ちょっと!くすぐったいから人の顔舐めないでよ。
やだ、鼻息荒いわよ。
息がくすぐったいの。
鼻息荒すぎよ。
え?口で息してるって?
どうでもいいから鼻息が・・・
鼻・・・
鼻・・・?
バチっと音を立てて目を開く。
体中がひやひやと冷え切っていく。
触れてくる手が汗ばんでいる。
「だっ・・・!誰っっ?!!」
「いいから、黙っとけって」
聞いたことのない、声。
あのエロ法師でもなく、彦四郎さんでもなく、ダルマのお父さんや、兵衛さんでもなく、朔太郎さんでもない、男の人の声。
私が、ここで出会った男の人の声とは全く違う声。
知らない声。
「黙っとけってあんたねっ!!」
叫んだ私を無理やり押さえつける。
本気で危険なことに気づくのに、そんなに時間は必要なかった。
着物の裾から手が忍び込んで来る。
男の息が荒い。
「や!!嫌だっ!!嫌だ!!!やめて!!」
全力で抗っても、簡単に押さえ込まれてしまう。
なんでこんな目に合うのか全くわからない。
なんだかんだ言って、昨日あのスケベ法師が私のことを本気で捕まえようとしていなかったことを知る。
それよりも何で私こんな時にあの人のことを思い出すのよ!!
早くこの腕から逃れなければ。
こんな男になんて、絶対に嫌だ!!!!
「・・・いいだろ?別に。お前、俺たちに逆らうとどうなるかわかってるんだろうな?」
その言葉を聞いて、はっとする。
若衆組だと、ピンと来る。
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