第46話

「ごく普通でよかったよ」




「やだ。ただちづちゃんは記憶を無くしちゃっただけよ。ごく普通よ」




ケラケラと2人で笑っている。


なんだか本当に仲良しなんだと思って、いいなと思って微笑む。




「うん。いいな、お前」




笑った私を見て、突然朔太郎さんは言った。




「サクちゃん、ちづちゃんのところに通うなんて言ったら、怒るわよ」




しげちゃんは突然ムッとして怒った。



通う?何を言ってるのか全くわからない。






「馬鹿を言うな。お前の兄貴にだよ」



「兄様に?」






しげちゃんは私をじっくり見つめる。





「・・・そうね、いいかもしれないわ。うん、兄様も文句はないでしょう」




「まあ、他にもちづのこといいって言うヤツも出てるからいいんじゃねえの?よかったな!ちづ!!」






にっこり笑って、朔太郎さんは私の肩を叩いた。


じんと痛みが走って、笑顔が引きつる。




本気で何を言ってるのか全くわからない。





「ちづちゃん。若衆組に逆らったら、死活問題よ」





しげちゃんはにやにやと笑った。




その意味を、私は身を持って知ることになる。

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