第41話
「よい声で鳴くだろう。まだ雛鳥だがな」
にやにやと笑っている。
こっこの男!!
「そのようですな。時を重ねれば、それはそれは立派な鶴になるでしょう」
そう言いながら彦四郎さんはまだ笑っている。
やさぐれ始めた私を見て、彼も満足そうににやにやと笑う。
「時が経てば、な。いつになるかはわからんが、立派な鶴になるのを私も期待しておる。そうだろう?雛鶴」
確実にバカにされている。
じろっと彼を睨み付けたが、彼はにこにこと無邪気に笑っている。
「良い名だ。『雛鳥』よりは良いだろう」
「勝手に人の名前を決めないでよ!!!」
いよいよ怒りが頂点に達して、太一兄ちゃんにいつもやるようにその足を思い切り踏みつける。
彼は小さく「いっ」と叫んで、そのまま固まった。
そうして何もなかったように、また涼しい顔に戻った。
やせ我慢しているのはすぐにわかったけれど。
「今朝も思ったが、お前は足癖が悪い」
ブツブツと小さく文句を言い出す。
「悪かったわね。しょうがないでしょ?鶴は足が長いんだから」
断じてあたしの足は長くはないが、言い返したくてそう言った。
彼はそれを聞いて吹きだすように笑った。
どういうわけかツボに入ったらしい。
「お、お前はまだ雛だからな。これから足が長くなるのであろう」
そう言いながら、肩を震わせて大笑いしている。
短いと言っているのと同じ。
確かに自分で言ったけど。
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