第20話

「皆様。もう夜も遅いことですし、お布団用意いたしましたが・・・」




小さい声で、ひょろりのお父さんが、オレンジ色の服を着ている人たちに声を掛ける。



確かに、あの人たちは正直私を見ているだけで何もしていないからいてもいなくてもいい。


いや、寧ろいないほうがいい。


見つめられても困る。




読経の声が止まる。





「休ませてもらいなさい。後は私一人でよい」





氷色は静かにそう言った。





「はっ。ではお言葉に甘えて下がらせていただきます」





オレンジ色の中で、体の一番大きな40代くらいのおじさんがそう言った。




それを合図に、オレンジ色の男の人たちはひょろりのお父さんに連れられて、さっさと部屋を出て行ってしまった。




誤算だったのは、それと一緒にしげちゃんやダルマのお父さんが出て行ってしまった。






文字通り、部屋に2人取り残された。







どっどうしよう?!と一瞬取り乱しかけたが、これはある意味チャンスだ。



声を上げようと思ったときに、その唇が歪んでいるのに気づいた。



思わず見つめる。




形よく歪んだその唇から目が離れない。





楽しんで微笑んでいるんじゃないのはすぐにわかったけれど。

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