第15話
「それよりちづちゃんはおかしな服を着ているのね。なんでそんなに足を出しているのよ?襲ってくれって言っているようなものよ」
しげちゃんは、私のスカートの裾をまじまじと見ながら引っ張ってそう言った。
いや、私のスカートは膝上5センチだし、短いほうでもない。
もっと短い子は沢山いるし、寧ろ私は長いほうだと思う。
「そ、そんなことないわよ。おかしな服って、これ制服だし」
着替えるのが面倒で、そのまま鎌倉に行ってしまった。
そうだ。
私、鎌倉に行ったじゃないの。
だとしたら、ここは鎌倉?
「せいふく?何それ」
「え?」
制服を、知らない?
なんでこの子は制服を知らないんだろう。
思い切り眉を歪める。
そんな私の仕草を見て、しげちゃんも眉を歪めて口を開いた。
「だから何?それは」
私をバカにして言っているわけではない。
目を見ればわかる。
本気で言っているって、わかるほど真剣な目。
血の気が引く。
冷水を、頭の上からかぶったみたいな痛みが全身に走る。
よく見れば、火が灯っている。
電気ではなくて、光を得るために傍で火が。
ゆらゆらと揺れて、心臓も同じように心拍数を上げる。
こんな場所、21世紀の現代に、あるかしら?
やけに全てが古い。
小袖も、
炎も、
よく見ると、時計も無い。
機械のようなものも無い。
尋常ではないおかしさに、次第に気づいていく。
指先から冷たくなっていく。
冷や汗がにじむ。
握り締めた両手がガタガタと震え出す。
「どうしたの?ちづちゃん。体調悪い?」
そっと背を擦ってくれるその手は、温かい。
紛れも無く、人の手。
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