最後の姿

離婚してどのくらいの時間が経ったかは覚えていない。

時々母と弟に会いたいなという思いはあったと思う。

とある日、車に乗り母方の実家へ向かった。

弟に会えるのを楽しみにしていた。


部屋に入ると畳に布団一式敷いており、

そこには弟が寝ていた。


周りには弟を取り囲むように泣いている母、

母方の祖父母、その他親戚がいた。


その時の私は弟がなぜ寝ているのか理解が出来ていなかった。


「お水を飲ませてあげようね」


綿棒を大人と一緒に手に取り、真っ白い顔をした弟を眺めながら、

唇に数回綿棒をあてた。


何をしているのか理解出来ていなかった。


「どうして寝ているの?また遊びたいなー」


無邪気に言った言葉だった。


それを聞いて母がさらに嗚咽をあげていた。


弟の死をしっかりと認識したのは、

おそらく6歳ぐらいの時だと思う。


今でも最後に見た弟の顔とお葬式の情景が頭から離れない。

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一緒に死のうという父親 @puddinglittle

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