第四話

 僕は目の前で信じられない現象ものを見た。

 人体発火現象ってやつだ。

 ピューラが何か言ったと思った瞬間司祭の上半身が燃え上がった。

 司祭から黒い煙がてさ立ち込めている。

 目の前で多分人が死んだ、実際に死んだところを見たのは初めだ...たちまち嗅いだことのない...いや、いつ嗅いでも慣れない生まれた頃より記憶に刻まれた臭いが司祭から立ち込めてくる。

 人が焼ける臭い。

 このまま思考を止めているといけない気がする。

 気を紛らすためにピューラに事の説明を求め詰め寄る。


「これ、ピューラがやったのか!?」


「そうよ...」


 素っ気なくピューラは答える。

 フォルは率直な疑問をぶつける。


「こんな力があるならなんで今までやらなかったんだ?この力が一人でもここから逃げ切れただろ?...ピューラ?」


 返答はすぐには帰ってこなかった。

 よく見るとピューラの足は諤々と鳴いており、たちまち鼻血を垂らしながら膝をついて倒れてしまった。


「ピューラ?!大丈夫か!?」


「くそーやっぱりこうなっちゃうか....できるだけ力は温存しておきたかったのに~!」


 ピューラは悔しそうクソ、クソと口悪く呟く。

 元気そうなのを見てフォルはほっとする。

 

 「なるほど、一回力を使うと逃げられなくなるから今まで利用しなかったんだね...結局さっきはどうやって燃やしたんだ?」


「私もわからないわよ、私はただ...ただ燃えて死んだ母さんの苦しみをあの村人達にも味合わせたいと強く思ったらできたのよ。おかげで母さんを燃やしたのも私って言う疑いかけられて逃げてきたらここに捕まっちゃたんだけどね...」

  

 「燃える水は燃やせる力は残ってるのか?」


 「できる、けど2回目は完全に意識を失うわ」


 「僕がピューラを背負って逃げればいいんだな?」


 「ええ、とりあえず教会からある程度離れたら私の意識が戻るまでどこかに姿を隠してね....できそう?」


 「やってみる...」


 「そこは自信もって言いなさいよ!こっちはあんたしか頼れないのよこの根暗野郎!」


 「はい!やります、逃げ切って見せます!」

 

 ピューラの一喝は気弱になっているフォルには効果てきめんだった。

 この時のガチギレピューラが一番怖かったと後にフォルは語っている。


 ◇


 畑仕事で教会内の者がで計らったのを確認し、フォルは燃える水が入った樽を使い地上の教会内に燃える水を撒いていた。

 大都市の教会と違い一地方の教会は木造が多く引火したら炎は止まらないだろう。


 「ふぅ、やっと撒き終わった」


 撒き終わりフォルはピューラを迎えに行く。

 横になった状態でピューラはフォルにねぎらいの言葉をかける。


 「ご苦労様、ちゃんと撒いてきた?」


 「うん、あと言う通り司祭の部屋から金をできるだけ集めてきたよ。いまなら教会内に人がいないから火をつけるなら今のうちだよ」


 司祭は突然のことで仕方がなかったがフォルはたとへ自分を使って甘い蜜を吸っていた人達と言えど

 人を殺すのにはためらいがあった。


 「みんなまとめて燃やしちゃえばいいのに...まあ、あなたがそれでいいならそれでいいわ、私には関係ないからね。」


 なんでそんなに燃やしたがるんだよ!と思いながらフォルはピューラを背負い教会の外を目指す。

 外に出たらピューラが燃える水をまき散らしている教会に火をつける手はずになっている。

 

 「しっかし、フォルの祝福って全然来ないのね」


 「神は気まぐれだからね」


 あの教会を燃やし尽くした火災以降これといってフォルに大きな祝福は来なかった。

 そういえば...僕が生まれた年も、あの火災の時も隣国で大きな戦争があったて誰かが言ってたな...なにか関係があるのかな?

 自分の祝福について考えながらフォルはピューラを連れて教会外部を目指す。


 「よし、もうすぐで外だ、ピューラ、炎の準備...を」

 

準備をしてくれといいかけてフォルは発言を止める。

  言いかけた瞬間彼にははっきり聞こえた、これまでは聞こえたことはなかったが彼は断言できた...「神の声」


『彼に祝福を...』


その瞬間神の落雷が天より振り下ろされる...ただの落雷ではない、一発で地面を抉り抜くほどの必死の超落雷それがフォルを目掛けて降り注いでくる。

 空気が震える轟音とともに教会は落雷により破壊され、さらに燃える水に引火し炎の波が広がっていく。

 フォルは、ファルいた周りだけは無傷だったまるで落雷が避けたみたいに。

 フォルは突然のことに驚きつつも咄嗟におぶっているピューラを見る。

 

 「ピューラ?大丈夫か?!」


呼びかけには答えないがピューラ突然のことであっけに取られているだけで特に外傷はなかった。

無事なのは僕の近くにいたからか?とりあえず無事でよかった。

 フォルはほっと息をつくまもなく炎の波から逃れるべく走って教会から距離を取る。


 「フフ、アハハハハ!!」


 崩壊する教会を見ながらピューラが突然笑い出す。


 「突然どうしたんだ?!状況見てよ笑うところか?!」


「フォルこれがあなたの祝福なのね最高!絶好のタイミングでしかも神が教会を破壊するなんて頭おかしくて、フフ、ダメ笑いが止まらない!」


  

  フォルはやばい女だと思いつつ、つられて笑い出してしまう。


「ハハハ!というか毎回雷か炎しかないの?もっと試練のバリエーション増やせよ!」


 「いいぞーフォル、もっと言ってやれ!」


  こうして2人の神に文句を言い行く一発入れに行く旅は二人の笑い声と崩壊炎上する教会をバックに見る人が見れば災厄の光景で始まった──

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