第3詩 【栞(しおり)】
穀物の収穫も、
はや、終えた跡と視え、
農夫たち、
見栄えする農婦たち、
粗雑(ぞんざい)に土地に坐りこんで、
酒盛りとなる 目下快活(わららか)に酒浸りで。
奈様(どんな) 野暮天も通らずに、
路傍も 確乎(しっかり)した紅(くれない)に映えゆき
(お囃子(はやし) 通るぞ 風のうた……)
奈様(どんな) 伊達(だて)も婀娜(あだ)も通らぬとも、
路傍も 寂しくはない ほろ視える
すこぶる岩乗(がんじょう)そうな農夫婦たちの
彼(あ)の 乾燥(はしゃぎ)きりよう!
(お囃子(はやし) 通るぞ 風のうた……)
旅人が めぐり来る 我が身一つで、
遠方から 不思議な栞(しおり)を 伝(つた)い来る,
音のない音楽が つまびかれる土地。
匂いのない香(かんば)しさを 風が残してゆく土地。
(お囃子(はやし) 通るぞ 風のうた……)
山の段(きだ)が しずかな赫赫(かっかく)で色づき、
赫赫(かっかく)は 遠景まで色づかせ、
この土地の導(しるべ)とする 不思議な栞の路の上に
落日がくる 落日がくる
宴(うたげ)につかれた農夫婦たちが
家路をさがす頃合いには
千々(ちぢ)に拡がる 星ぞらが
差し驚かすほど ひかり視える。
尽きることも 尽きるときもなしに
(お囃子(はやし) 通るぞ 風のうた……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます