第90話
「多分、離れられない。陸に振られない限り、ううん振られてもずっと」
私の、十数年分の想いを、ありったけ森山旬にぶつけた。
ぶつける相手、間違ってるかもしれないけれど。
なにも言ってくれないまま、時間が過ぎる。
「森山旬、引いた?重くて」
「旬でいいよ、フルネーム長い」
思ったより、近くにいた森山旬、…旬にドキドキして。
涙の跡を辿るように、長い指が私の頬に這う。
陸以外に、こんな風に触れられたの初めてだから。ドキドキしてしまうのは、仕方ないよね…?
「旬…?」
「さっきさあ、お前、幼なじみに振られても好きって言ってたよな?」
「うん…?」
他の人の口からきくと、若干、いや、かなり、恥ずかしい。
「でもさ、お前がもし俺を好きになったら」
「…は?」
「それはもう、幼なじみを好きではなくなるってことだよな」
不覚にもニヤリ、とした意地悪な笑みを綺麗だって思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます