第79話

「同じクラスといえばさ、紗葉ちゃん、森山くんとなんか最近いい感じだよね!」




時計回りに順番は回っていたから、まだ私の番じゃないなと思っていたのに、急に私の話になって、思わず口に含んでいたオレンジジュースを吐き出しそうになってしまった。




「っ、ゲホッ、――――私!?」


「なんか森山くん、最初から紗葉ちゃんだけって感じしたあ」


「ねっ、私も!」




あり得なさすぎる、という私の気持ちなんて無視して、勝手にクラスメイト達は盛り上がっていく。




「いや、ほんとそれはない。まともに話したの今日が初めてだもん」


「えー、そうなの?いつも楽しそうにじゃれあってたイメージ!」


「そんな可愛い感じじゃないから。ほんと氷河期?冷戦?て感じだから!」


「そうなんだあ」




必死に否定しても、きゃっきゃ、とお酒を飲んでるみたいにはしゃでるクラスメイトたちが、どこまで私の話をまともに聞いて、信じてくれてるか分からない。



え、ほんとにお酒飲んでないよね?

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