第67話

毛穴…、どこ…、って感じだし。


鼻も高くて、横顔で映える顔だし。


まつげも長いし。


なんだか、不平等だと思う。


女の私から見ても、羨ましいもん。


男に生まれ変わるなら、こういう顔になりたい。


そう思わせるくらい、整ってる。




「見過ぎ、」


「え、起きてたの」




ゆっくりと、世界の時間の流れが変わってしまったみたいにゆっくりと、森山は目を開けて。



徐々に瞼に、二重のラインがくっきりと表れる様子が何故だか色っぽくて、不覚にも鼓動が乱れた。




「惚れた?」


「…は?」


「好きになった?俺のこと」


「熱ある?今日なんかおかしいよ」




陸には、いつもそうするから。



熱を確かめるために、癖でつい、おでこに手を伸ばすと、がしっと伸ばした手を捕まれて、森山のほうに引き寄せられる。




「あ、ごめ、あ、え、ちょっと…!」




ただでさえ狭いバスの座席。私の必要とする面積が少なく、気を付けていたからこそ、身体のいかなる部分も触れずに座っていられたのに。

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