第66話
前のバスに合わせて、動き出した5号車。
手を上げて、軽い別れの挨拶をしてくれる陸から、どんどん遠ざかっていった。
◇
最初の角を曲がり、高校が見えなくなったとき、ポケットの中の私の携帯が震えて。
確認してみると、【気をつけて】と陸からのメッセージが届いていた。
【荷物持ってくれてありがとう。お見送りも!遅刻しなかった?】
私もメッセージを送り返すと、またすぐに、メッセージと画像が送られてきて。
【俺は大丈夫。ソノはアウト】
そこには、制服のズボンの裾を折って七分丈にして、わいしゃつの袖も折って、家から走ってきたであろう園田先輩の写真があって。
先生の前で、膝に手をつき、よく日焼けした顔を歪ませ、肩で息をしながら、見逃して~ってお願いしてるんだろうな、って簡単に想像できる園田先輩の様子に、くすっと笑ってしまった。
隣で椅子に浅く座ってる森山は、寝てるのか、目を閉じているだけなのか分からない。
いつも後ろの席で寝ているこの人を、こんなに間近でしっかり観察できることなんて早々なくて。
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